(2018年 ベルギー・フランス)
2018年カンヌ国際映画祭批評家週間部門に選出され、高い評価を得たベルギー出身の新鋭ギョーム・セネズ監督の長編第2作。 妻に突然家出をされた夫が、残された幼い兄妹の世話と家事に翻弄されながら、かけがえのない親子の絆を結び合うまでを描いたシリアスな物語である。
想起されるのは、監督が生まれた翌年の1979年に公開された「クレイマー、クレイマー」であろう。
離婚し子どもを引き取った経験を持つという監督自身、本作への挑戦にあたってとりわけ意識したであろうことは、「クレイマー対クレイマー」にたいして、本作の原題を「我らのたたかい」とした点からも窺うことができるだろう。
家事や育児を妻任せにせざるを得なかった夫・オリヴィエ(ロマン・デュリス)像にしても同様だ。オンライン販売の倉庫で終日働く職場リーダーとしてだけでなく、労働組合の誠実な活動家としても設定されている彼には、「父性」を職場や社会の現実と結びつけて考察する新たな視点が託されているからだ。
脚本をも手がけた監督が、俳優たちには一切台詞を見せずに、一緒に創り出していくという演出方法を採っていることも画期的だ。
自らの弱さや失敗をさらけ出しながらも父親として成長していくオリヴィエ、母親がもどると信じて待つ子どもたちのいじらしさ、そんな兄妹を放っておけない祖母や叔母たちの優しさなど、臨場感あふれる場面が深く心に刻まれる。
想起されるのは、監督が生まれた翌年の1979年に公開された「クレイマー、クレイマー」であろう。
離婚し子どもを引き取った経験を持つという監督自身、本作への挑戦にあたってとりわけ意識したであろうことは、「クレイマー対クレイマー」にたいして、本作の原題を「我らのたたかい」とした点からも窺うことができるだろう。
家事や育児を妻任せにせざるを得なかった夫・オリヴィエ(ロマン・デュリス)像にしても同様だ。オンライン販売の倉庫で終日働く職場リーダーとしてだけでなく、労働組合の誠実な活動家としても設定されている彼には、「父性」を職場や社会の現実と結びつけて考察する新たな視点が託されているからだ。
脚本をも手がけた監督が、俳優たちには一切台詞を見せずに、一緒に創り出していくという演出方法を採っていることも画期的だ。
自らの弱さや失敗をさらけ出しながらも父親として成長していくオリヴィエ、母親がもどると信じて待つ子どもたちのいじらしさ、そんな兄妹を放っておけない祖母や叔母たちの優しさなど、臨場感あふれる場面が深く心に刻まれる。
翻弄されつつ成長する父